「葉」で作られたマイクロRNAが「根」で根粒の数を増やす機能を持つことを証明

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「葉」で作られたmiR2111が「根」で根粒の数を増やす

ミヤコグサの根と根粒 (コブ状の器官)の画像。接ぎ木によって、MIR2111-5を「葉」を含む地上部 (穂木)で過剰発現させると、野生型の「根」(台木)で根粒の数が増加した (AとBを比較)。

窒素は植物にとって最も多量に必要とされる必須栄養素の一つです。マメ科植物は、根に根粒という特殊な器官を形成し、土壌中の窒素固定細菌 (根粒菌)と共生することで、多くの植物が利用できない大気中の窒素を栄養源として利用することができます。一方で、宿主となるマメ科植物は、根粒菌の養うために根粒へ多量の光合成産物を供給する必要があるため、過剰な根粒の形成は植物の生育を著しく阻害します。このことから、宿主植物は根粒の数を制限する仕組みを持っていることが知られています。根粒の数の制御は、根粒が作られる「根」へ「葉」からシグナル分子を送り込む、ユニークな機構を使って成立していることが知られていましたが、「葉」由来の分子が何かは長らく不明でした。

本研究では、モデルマメ科植物ミヤコグサを用いて、近年「葉」由来の根粒形成制御因子として注目されているマイクロRNA、miR2111に着目し、miR2111の合成に関わる「MIR2111-5」遺伝子を特定しました。MIR2111-5はほとんど葉のみで発現し、それを欠損させた変異体では根粒の数が減少しました。更に、接ぎ木によってMIR2111-5を葉を含む地上部でのみ過剰発現させると、根で根粒の数を増加することを示しました (画像AとBを比較)。これらの結果より、葉で合成されるmiR2111が根粒の数の制御に重要な役割を持つことを明らかにしました。

マメ科は農業的に重要な作物を多く含みます。この根粒数の制御機構に関わる遺伝子を対象にした育種を行うことで、より栄養獲得効率の高い品種の作出が期待されます。

書誌情報
  • タイトル:MIR2111-5 locus and shoot-accumulated mature miR2111 systemically enhance nodulation depending on HAR1 in Lotus japonicus
  • 著者 :Nao Okuma, Takashi Soyano, Takuya Suzaki, and Masayoshi Kawaguchi
  • 掲載日:15, October, 2020
  • 掲載誌 :Nature Communications
  • DOI: https://doi.org/10.1038/s41467-020-19037-9

生命科学研究科基礎生物学専攻 大熊直生

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