中央アジアの結婚式の司会芸能者「タマダ」と彼らの音楽活動

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結婚式の司会芸能者「タマダ」: タマダは、常にゲストの反応を見て演奏曲を決める。この地域のタマダは、結婚式の成功の可否を握る存在である。

皆さんは結婚式に参加した時、式場で司会進行をする職業に注目したことがあるでしょうか。遊牧民の末裔の住むユーラシア大陸の中央部では、どのような司会者の活動が見られるのでしょうか。中央アジアの各地で活動する司会芸能者「タマダ」は、文化人類学の観点から、結婚式といった儀礼の進行役として報告されてきました。今回、私が発表した論文では、モンゴル国のカザフ人の事例を通じて、タマダが民族コミュニティ内で音楽を普及する役割を担ってきたことを解明しました。

モンゴル国のカザフ人コミュニティ内で、タマダと呼ばれる司会芸能の形態は、1999年にの設立と同時期に300人を収容できる結婚式場の設立と同時期に成立しました。大規模な結婚式場が成立する以前は、遊牧民たちの住むキーズ・ウイ(フェルトの天幕)で小規模な結婚式が行われていました。タマダらは、大多数のゲストをコントロールするために、音楽演奏を交えた式次第を考案しました。彼らの多くが歌手や詩人の経歴を持ち、新しい音響技術と最新の流行の音楽を結婚式での演奏に導入することを好みました。そして、カザフスタンのポピュラー音楽を結婚式での音楽演奏に導入し、民族コミュニティ内で新しい流行を作る役割を持っていることがわかりました。

タマダは、中央アジア、コーカサス、シベリアといった旧ソ連の各地で見られる職業であり、本研究は、国境を超えて音楽を普及するタマダの音楽活動  を世界に先駆けて論じました。今後は、各地の「タマダ」の芸能活動の比較から、その職業を通じた音楽の研究の前進が考えられます。


書誌情報

Transformation of Musical Performances at Wedding Ceremonies in the Post-Socialist Period: Focusing on the activities of Kazakh Tamada in Bayan-Olgii Province, Mongolia, Fuki Yagi, Central Asian Survey, 2020, 39(4): 540-555.

Doi: https://doi.org/10.1080/02634937.2020.1815652

文化科学研究科比較文化学専攻 八木風輝

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