電荷の大きな粒子が受ける電位のむらによる影響:新しい計算法による解析

R1-19-011?1
電子のむらの有無による炭素の流束の違い
炭素イオンが圧力一定面(磁気面)を横切ってプラズマの外側に流れ出す量(縦軸)を、圧力一定面上の電位のむらの影響の有無で比較した図。電位のむらの影響を無視した場合(赤線)と、電位のむらの影響を含めた場合(緑線)では、流れの大きさに変化があることがわかる。

核融合プラズマ中には、燃料となるイオン以外に、装置の素材などに由来する不純物イオンと総称される重いイオンが混入します。これらの不純物イオンは、核融合装置の運転の障害となるため、内部への蓄積を防ぐことが重要な課題の一つとなっています。従来の粒子や熱の流れ(輸送)を扱う理論によって、不純物イオンがプラズマの中心に蓄積すると予測される状況下で、外向きに流れ出る現象が観測され、理論の再検討が行われています。本研究では、従来無視されてきた効果を取り入れた計算コードを開発してこの現象の解明を目指しています。

磁場閉じ込めプラズマは、磁気面と呼ばれる面が幾重にも入れ子状になった構造を形成します。核融合プラズマの輸送理論の主たる目的の一つは、磁気面を横切って粒子や熱がどれだけ外に逃げ出すかを計算することです。

これらの計算は複雑であるため様々な近似が用いられます。一般的な処方は、ローカル近似と呼ばれる、粒子が磁気面を横切る動きが非常に小さいとする近似です。そしてもう一つ重要な近似が、磁気面上に生じるわずかな電位のむらを無視し、各磁気面上で電位が一定とするものです。これらの近似は計算コストを著しく削減できるうえ、これまでの研究対象についての計算では、多くの場合十分正確な計算結果を与えてきました。

近年ローカル近似を用いた研究で、不純物が受ける電位のむらによる影響は無視できないことがわかってきたのですが、ローカル近似の正当性についても検討の必要性が示唆されているため、本研究では、ローカル近似を用いない計算によって、磁気面上の電位のむらの構造と、不純物の振る舞いへのその影響を計算しました。

得られた結果は、電位のむらの構造も、不純物イオンの振る舞いもローカル近似を用いた計算と異なるものであり、新しい計算法の重要性が確認されました。今後は実際の実験条件に合わせた計算を行い、不純物の流れを具体的に解析していきたいです。

派遣先滞在期間

2019/09/22~2019/09/28

国、機関名

22nd International Stellarator and Heliotron Workshop at ウィスコンシン(アメリカ)

ポスター発表

タイトル: Global calculation of neoclassical impurity transport including the variation of electrostatic potential

派遣によって学んだことや得られたもの

各国の研究者の発表を聴講したり、自分の研究発表に対するコメントをいただいたりすることで、自身の研究に関連する研究の最新の状況と、その中での自分の研究の位置づけや改善点を知ることができ、今後の研究に対するさらなるモチベーションを得るとともに、今後どういった計画を持って研究を進めるべきかなど、研究におけるより具体的な心構えについて考える非常によい機会になりました。

物理科学研究科核融合科学専攻 藤田慶二

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