Neoleukin Therapeutics社でのサイトカイン模倣タンパク質のデザイン

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Neoleukin Therapeutics社で私が実際にデザインしたサイトカイン模倣タンパク質
私たちが体内に持っているサイトカインは、細胞に認識されるための鍵のような部分(サイトカイン受容体にくっつく部分)を持っています。この部分を残して、他の部分は頑丈になるようにコンピューターでデザインし直しました。

人の体内ではサイトカインと呼ばれるタンパク質が分泌されており、それらを受け取った細胞を活性化したり成熟させたりすることで免疫の活性化や組織を作ることなどに役立っています。そのため、サイトカインを必要に応じて薬剤として身体に注射する治療が行われています。しかしながらサイトカインは熱に弱いため様々な工程で品質を保つことが難しく、加えて複数種類の細胞に反応することもあり、人間が意図している以外の反応を起こすこともあります。

そこで、2019年にワシントン大学のSilvaらはコンピューターを使ってとても頑丈で望んだ反応のみを起こすサイトカイン模倣タンパク質を作りました。さらに彼らは本技術を応用して薬剤タンパク質を作る企業、Neoleukin Therapeuticsを立ち上げました。私は同社のインターンとして、あるサイトカインの模倣タンパク質をコンピューター上でデザインしました。現在は実験でそれらタンパク質が実際に元のタンパク質よりも優れた機能を発揮するのかについて性質を調べているところです。

派遣先滞在期間

Date of Departure: 2019年9月27日
Date of Return: 2020年3月7日

国、機関名

アメリカ合衆国 シアトル
Neoleukin Therapeutics, Inc.

派遣中に学んだことや得られたもの

大学院での専門であるタンパク質デザインを応用している企業は日本にはなく、そのような企業の研究職として働くことは非常に貴重な体験でした。仕事を通じて実際の創薬のプロセスを学べたことも非常に価値のあることだと思っております。また、大学院発の技術がいかに社会にインパクトを与えうるかについて実際に働く前は想像力を働かせることが難しかったのですが、まさに新技術が世の中に広まるまでの過渡期を経験したことは自身の研究がどのように社会に影響を与えうるかについて深く考えるきっかけになりました。

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分子研 古賀グループ 博士後期課程2年の三本 斉也です。応用的なタンパク質デザインを専門にしています。写真は滞在先のシアトルの年越しカウントダウンのお祭りで撮りました。

物理科学研究科構造分子科学専攻 三本斉也

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