痒いか、痛いか、どう調べるか

チークインジェクションモデルでのネズミの"掻き行動"と"撫でる行動": 痒みを起こす物質では頬を掻き、痛みを起こす物質では頬を撫でる

研究概要

痒みや痛みについて研究するためには、動物の感じている痒みや痛みを正確に知る必要があります。これまで痒みの研究では、ネズミの"首の後ろ"に被験物質を注射して、何回その場所を掻くかを痒みの指標にする実験が一般的でした。しかし、2008年に痛みを起こす物質を注射した場合もネズミはこの場所を掻いてしまうことが報告されました。 つまり、これまでの手法では痒みを調べているのか、痛みを調べているのか分からないことになります。そこで、今回の論文では「チークインジェクションモデル」と言う新しい"痒みと痛みを調べる手法"を紹介しています。

この手法は名前の通りネズミの頬(チーク)に被験物質を注射(インジェクション)します。こうすると、ネズミは痒みを起こす物質を注射した場合はその場所を後足で掻きますが、痛みを起こす物質の場合は前足で撫でることが先行研究で報告されています。従来の方法と大きく違うのは注射する場所だけですが、痒みと痛みに関する行動をそれぞれ独立して、同時に評価することができるのです。この手法を使うことで、ある物質が痒みを起こすのか、痛みを起こすのかを正確に知ることができます。このように有用な研究手法ですが、注射の手法や、ネズミの"毛繕いの動作"と"撫でる動作"の区別など、いくつか技術的に難しい部分があります。今回の論文では、多くの研究者がこの手法を使えるように実験のやり方や注意点を動画で解説しています。



書誌情報
  • Yamanoi, Y., Kittaka, H., and Tominaga, M. "Cheek Injection Model for Simultaneous Measurement of Pain and Itch-related Behaviors." J. Vis. Exp. (151), e58943, doi:10.3791/58943 (2019).

生命科学研究科生理科学専攻 山野井遊

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