がんを診断するための、軟部組織の硬さを評価する研究

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X線イメージングによる試料(ゲル)の硬さマップ: 試料(ゲル)内部の硬さが異なる領域を画像化することに成功した。



研究概要

乳がんの検診など、触診が病変の診断に広く用いられているように、病気の部分は硬くなることが知られています。しかし、触診では深部にある病変や小さな病変を見つけることは困難です。近年MRI(核磁気共鳴画像法)や超音波イメージングを利用して内部の硬さを画像化する方法(エラストグラフィ)が開発されてきました。

そこで私はより小さい病変や深いところを見るためにX線イメージングとエラストグラフィを組み合わせた方法を研究しています。MRIや超音波イメージングと比較してX線イメージングはより細かく、深いところにあるものを見ることが可能です。

また、奥行方向の情報を得るためには、通常はX線発生装置または試料を回転させながら撮影する必要があります。マサチューセッツ総合病院のグプタ先生のグループは、回転させることなく撮影が可能な新しいX線発生装置を開発することに成功しました。回転させないことで、撮影時間の短縮(患者に優しい検査)や装置製作コストの削減を期待できます。

本滞在では、グプタ先生のグループが開発されたX線発生装置とエラストグラフィを組み合わせ、硬さが異なる試料を測定し、図のように二次元平面内の画像として硬さの違いを確認することに成功しました。さらに、深さのある試料(ゲル)中の断層撮影も行いました。断層撮影は臨床現場でも利用されており、深さ方向の一断面を表示させることができます。今後はさらに実験と解析を進めていく予定です。

この手法が確立されることにより、いままで見逃されてきた病変の発見や、非破壊で材料内部の硬さを求めること等への応用が期待されます。

A)訪問先・期間

マサチューセッツ総合病院(ハーバード大学関連病院)・2019年8月19日―2019年10月20日

B)派遣によって学んだことや得られたもの

マサチューセッツ総合病院に滞在する機会をいただきありがとうございました。ここは病院業務をされている方、研究をされている方、研究と病院業務の両方をされている方等の様々な方が所属し医学に関係する研究を行っています。幅広い分野の方が、垣根を低く研究することにより日々コラボレーションが生まれています。研究は一人ではできるものではなく、多くの方との議論により新たな気づきが生まれ、素晴らしい速さで進むことを体感することができました。

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(ハーバード大学の創設者 ジョン・ハーバード像と撮影)

高エネルギー加速器科学研究科物質構造科学専攻,亀沢知夏

帰国後に、エラストグラフィの研究によりKEKスチューデントデイで機構長賞を受賞しました。
第6回「KEKスチューデントデイ

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